MEDIA メディア掲載・対談
建設新報 2005年3月7日 ワイドインタビュー この人②
『美しい環境・景観を次の世代に 社会のニーズや危機的な部分に触発されたものを製品として』
株式会社クラフト
代表取締役社長 武田元裕
取締役デザイン設計室室長 結城玲子
-システム的なもので現在取り組んでいることは
自己完結型です。商用エネルギーがないような悪条件でも、自分で発電できて自分で処理できるということをめざしています。現在、公園施設全般を扱っている中でトイレに力を入れていますし、お客様もそういった視点で色々な難しい提示をなさってくるので、そえを解決していくうちに自然とこういう方向にきた。じゃあ、今は離島とか山の中とか特殊な条件だけで仕事をしているのかというと、そうとは限らないんです。逆に都市部ですね。神戸市は震災時点の下水道の普及率が98%を超えていて全国一ということもあり、バキュームカーが無かったという素晴らしい先進地でした。そういったところがやられ、都市機能のインフラがいかに脆いものかということを露呈してしまったんですね。
また、京都議定書が先日発行されましたけれども、環境に関する京都の意識も高い。そうしたこともあって私たちからみると、どちらかというと関西で意識が高いんですよ。あと意識が高いのは東京都ですね、次は自分の番だと思ってますから。
-県外における納入実績が多いのはそうした理由からですかね
都市機能が集中していながら、それが麻痺した時にどう対応するかという危機意識の高い自治体の中では非常にお問い合わせ頂いてます。そうしたところを中心に、どうしたらよいのかということを半分コンサルみたいな感じで対応しております。逆に都市といわれているところでも、割合に災害は自分のところには来ないだろうと思っているところは、やはりそれなりの反応ですね。
-循環型・自己完結型といったものに会社として取り組むようになったきっかけは
私どもの所属している日本トイレ協会というのがありまして、そこで震災前の神戸で環境関係をテーマに国際シンポジウムを開催したのですが、そのときにオーストラリアの海洋学者が、2016年には海が駄目になるという発表をしたんですね。その頃は、バブルの終わりぐらいの時代でしたので、家庭などでの排水が川に流れ込む-といったような話しは、まだあまり出ていなくて、皆あまり真に受けてなかった。私たちはそれは企業としてもまじめに取り組んでいかなければならない問題だと思ったのです。それまでは2次製品をつくってきたのですが、これを仕事に反映させなくてどうするんだということで、システムを含め、そういったことを行政サイドになんとか提案していきたいという強い気持ちがありました。ただ、行政にしたって、実績もない、資金を投入して明日どうなるかわからないみたいな輩に予算使うわけにいかないですよね。ですから、最初は「やってみましょう」と言ってくださる方にご協力頂くという形ですね。
こうした問題に対しては、やはり儲けというこではないんですよ、一緒に取り組んでいきましょうという、いわば研究機関みたいなものです。会社としても儲かるかどうかよくわからない状態だったけども、とにかくやってみましょうと、その勢いで現在も進んでいます。
-今後の方針や展開は
例えば何かを開発したい時は、県とか国とかにお願いしなくてはならないのですが、こうした実績もあるからか比較的、研究開発費を頂けたり。あとはベンチャービジネス奨励賞とか、そうした賞を頂いたりすることによって次のステップにしていくみたいな感じです。
日本産業広告総合展で製品カタログの部でもらった賞がありまして、とても気持ちの良いカタログであるという講評を頂いたものがあるのですが、何てことのない手書きのイラストを載せたものなんですね。実はこれ環境保全を小中学生に知らせたいということでつくったものなんです。当社には、会社見学にいらっしゃる方が多いのですが、皆さんにこうやって環境保全をやる方法もあるんですよ、ということをお知らせするために簡単に描いてみたものなんです。やはり基本的なことを知っておいてもらいたいというのがありまして。
悪化していく環境の中で、大切な空気や水がこれからも汚れていくことを黙って見過ごすことはできないですよね。ただの物づくりだけではなくて、社会のニーズや危機的な部分に触発されたものを製品にして、美しい環境と景観を未来の子供たちの世代に残していくために、今私たちができることを今後も提案していきたいと考えています。