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国土交通省山形工事事務所季刊誌 「U-Zen」 活人列伝
結城 玲子・景観デザイナー『生まれ育った町の景観が大好き。だから提言する。』

昨年、ある新聞紙上で「みちづくりへの提言」が公募された。一般の方々の意見をぜひ、みちづくりに取り入れていこうとする趣旨であった。しかし、ほとんど提言が集まらない。そうした状況を打ち破り、提言を出したのが環境施設の設計施工会社「クラフト」取締役デザイン設計室長、景観デザイナーとして山形を拠点に活躍する結城さんだった。

「道路は渋滞を解決するものなのか、本当に投資した分が生活に戻っているのかなど、私の中に小さな疑問がありました。道が増えてクルマがすいすい通れることは、一見とても便利なように思えるけれど、一方でCO2の増加も助長している。生活者として、母親として日頃から感じていることを、誰も言わないなら私が言っちゃえ、と」
これまでは自転車でどこへでも行けていたのに、街の構造が郊外型へとシフトしていったため、生活様式が変化。やむなくクルマを購入することに。そのとき結城さんは思った。『道路は、クルマが走るためのもの?』。その疑問が、提言の動機だった。それをきっかけに、同紙上で六回連載のコラムを担当することになる。
「一回目は、地域の景観を生かした低層の街づくりのたいせつさを訴えました。平成8年2月に、山形市景観条例制定を求めて署名活動を行ったことも書いています。二回目は、みちづくりの現状と未来について書きたいなと考えています。」
結城さんは、山形市の山形駅近くに生まれた。盆地特有のなだらかな山並み、やわらかい緑の田園風景。生まれ育った街の景観が大好きだからころ、言うべきときは言う。
「根っこは単純なんですよ。美しい環境に住みたいし、子供たちに美しい環境を残してあげたいだけ。結婚当初こそ東京に住んでいたけれど、子供が生まれたのを契機に山形に戻ってきました。そういえば夫は『子供を桃太郎みたいに育てたいから』と言っていましたが、あれはどういう意味なんだろう(笑)」
いつまでも美しい緑と空気、水質を守っていきたいと語る結城さん。その視線の先には、あるべき未来の山形の姿が映っている。