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山形新聞 2003年2月6日 提言 ユニバーサルデザイン研究会・結城玲子 『バリアフリー社会 構築』

 ユニバーサルデザインということばを知っていますか。デザインということばは、どうしてもデザイナーに結びついてしまい、一般の人にはかかわりがないようにとらえられがちですが、そうではありません。直訳すると「普遍的な解決策」ということになってしまいますが、ひらたく言えば「だれにでもわかりやすく、使いやすく、暮らしやすくするための方法」と、言えます。
今まで社会の仕組みは不自由のない、健康な人を中心に動いてきたように思えます。しかし少子高齢化を迎えた現在、従来の仕組みのままでは社会がうまく機能できなくなる危険性をはらんでいます。
2000年の国勢調査によると、山形県の高齢化率(65歳以上の人が総人口に占める割合)は23.0%で、全国第4位。高齢化率はさらに上昇し、2025年には3.3人に1人は高齢者になると予想されています。
年をとれば一般的に身体的機能が低下し、従来通りの生活スタイルを維持できなくなります。機能の低下した人を施設に収容し、介護するという形式をこのまますすめていけば将来介護する人と、される人の占める割合が上昇し、地域としての生産性が低くなってしまいます。
そうなってしまう前に社会全体の仕組みを見直し、誰もが暮らしやすい地域づくりをすすめておく必要があります。たとえ力がなくても、歩けなくても、目が見えなくても、耳が遠くても、精神的に強くなくても、年齢的に未熟でも、男女、国籍に関係なくそれぞれの立場で自立して生きることのできる社会です。
私たちはこれから1人ひとりが社会を変えていく意識をもち、努力していく必要があると思います。
では、どのようにしてユニバーサルデザインを実行していけばよいでしょうか。もっとも手近な方法として、バリアフリーがあります。バリアー(障壁)を取り除くことです。車いす利用者や足腰の弱った人にとって、床の段差は行動半径をせばめ、外出や仕事の妨げになります。こうした障壁を一つ一つ取り除いていこくは重要です。
空間として住居から商店、公共施設、道路、交通手段、観光地、あらゆるところこの試みは始まっています。もっとも進んでいるのは商品です。消費者を見据えた商品は手が不自由でも、日本語が読めなくてもできるだけ多くの人が使えるようにデザインされ始めました。
デザイナーでなくても、今まで社会的弱者として不自由な生活を余儀なくされてきた人の立場で考え、行動していけば達成できるはずです。ユニバーサルデザインは、デザイナーや行政、商店の人だけが考えることではなく、すべての人の価値観の中に芽生えるものであり、今後の地域づくりに重要な指針を与えてくれる考え方なのです。