公共トイレ/公園・景観施設
設計・製造・販売

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ユニバーサルデザインへの取組

少子高齢社会が進展する中、何らかの形で身体に不自由のある方が増加しています。このような社会の中で、どのような方でも使いやすい施設や道具を作り、提供して行くこと=「ユニバーサルデザイン」が大切であるとクラフトは考えてまいりました。 

また、近年ではジェンダーフリーやインクルーシブなどの考え方も広がってきており、より多様性に対応していく必要があると考えております。

「すべての人のためのデザイン」としてのユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインの解釈はいろいろですが、アメリカの建築家ロン・メイスによって1990年ころに構築された比較的新しい考え方です。人間のいろいろな「違い」を特別視することなく、社会全体を暮らしやすく、使いやすく設計するというような考え方のことを指します。障がいのある人も等しく同じ社会で生きるといったノーマライゼーションや、社会に生じてしまった障害を取り払うという意味でのバリアフリーとも似かよった考え方ですが、ユニバーサルデザインは、どの考え方よりも幅の広い豊かな考え方です。今となってはあたり前の考え方となり、あらゆる分野で取り入れられていますが、特にトイレの設計においては、最も重要なポイントであるとクラフトは考えてきました。
公園を含む地域社会は、非常に公共性の高い場所です。どなたでもお使いいただけるトイレは公園においては必需品であり、私たちが最も力を入れている製品です。
クラフトでは女性のデザイナーの視点から、「ユニバーサルデザイン」というコンセプトのもと、1992年より先駆けて、以下の様な機能を導入、常に改良を図ってきました。
ここでは、具体的にどうクラフトが公共トイレにユニバーサルデザインを取り込んで、形にしてきたのかをご紹介します。

公衆トイレに大型のトップライト(明るさ)

従来のトイレのイメージ、暗い、汚いを大きく覆す大型のトップライトを採用した通商産業省 ’95年グッドデザイン商品選定のTECNO(テクノ)シリーズ(93年発売)。明るくやわらかな自然光が天井から差し込みます。

<写真>テクノシリーズ・デルタのトップライト

1993年の開発当時、公共トイレのイメージを大きく覆す画期的なトイレでした。
現在は、2008年に開発した、より防犯性、メンテナンス性に優れたサイドライトにシフトしてきております。

タイル張りの室内(清潔感)


タイル張りの室内は清潔感を保つと同時に日々の清掃がとても楽になります。吹きつけ塗装などの従来の壁と比べて、ふき取りやすく、汚れも付きにくくなります。RHODES(ロードス)、GEO(ジオ)シリーズでもオプション対応しています。

<写真>テクノシリーズ内部(廃盤)

大型の埋め込み式鏡(快適性と盗難防止)
低めのカウンター式手洗い器(子どもでも手が届くように)

低めのカウンター式手洗い器は手を洗うだけでなく、バッグを置いて、ゆったりと髪型や化粧を直すことができます。こどもでも十分に手の届く高さです。トップライトからの自然光と、大型鏡の採用で、快適空間が生まれました。

*現在は、各メーカーからさまざまな手洗器が発売されており、それらを採用しています。

<写真左>こどもでも手の届くカウンター式手洗い器 
<写真右>大型の鏡と手洗い器による快適な室内>

ブース内ベビーベッド(乳児はいつも母親のそばで見守りたい)
手すり取り付け(妊娠中の母親は立ち上がるのが大変なので)

赤ちゃん連れのおかあさんにとって、同じブース内に子供を寝かすことができることは大きな安心です。手荷物も十分に置くことができ、お年寄りの方もカウンターにつかまれば楽に立ち上がることができます。

*現在は、各メーカーからおむつ交換台が発売されており、それらを採用しています。

<写真>まだベビーベッドが発売されない時代に造作した木製のベビーベッドと手すり
ベビーベッドの下部はパイプスペースとなっています。

タンク隠ぺい式(設備室を設け、ブース内にシスタンバルブのみ取り付け)

給排水管、タンク、配電盤を1ヶ所にまとめれば、点検、修理等を楽に行えます。
下部には換気扇を装備、いやなにおいを防ぎます。また、設備室内にモップ掛けを取り付けました。簡単な清掃用具を収納できます。

<写真>テクノシリーズの設備室内部(廃盤)

ペーパー汚物入れ一体型(ステンレス製壁埋め込み)


トイレットペーバーの盗難は現在も問題となりますが、1993年当時は流通しているペーパーホルダーの種類が乏しく、埋め込み式で鍵付きのペーパーホルダーを自社で設計・製造していました。
*現在は、各メーカーからさまざまなペーパーホルダーが発売されており、それらを採用しています。

<写真>テクノシリーズに設置された埋め込み式一体型ペーパー汚物入れ(廃盤)

オストメイトへの対応

オストメイトとは大腸ガンなどのために人工膀胱・人工肛門を装備した方で、現在日本での人工は20~30万人といわれています。
オストメイト対応トイレにはまずパウチを洗浄するためのシンクが必要です。また洗浄用の温水やカウンター、洋服掛け、鏡などが装備されていることが望ましいとされています。クラフトではいち早く対応しています。
現在、オストメイト用設備は複数種類があり、ご選択いただけます。

<写真左>オストメイト対応例 汚物流し、ミカゲ石調カウンター、パネルヒーター、ジェットタオル、小型手洗い器
<写真右>パウチ、しびん洗浄器具付便器。便器の下には洗浄用ノズルを装備しています。

最新の法規、条例を研究

公共トイレの設計において、各地域の条例、法規は大きく異なります。クラフトでは常に変化するこれらの規則を注視し、素早く対応しています。現在、クラフトユニバーサルトイレは以下の基準を満たした設計をおこなっています。

  • バリアフリー新法
  • 福祉のまちづくり条例(各自治体ごとに対応致します)

上記以外にも常時、それぞれの地域の法規、条例に対応して設計しています。

その他

視線をガードしながら防犯性を確保するデザイン
災害時対応トイレ

基礎ピット付き(アフターメンテナンス配慮)

ユニバーサルデザインとは何も障がいを持つ人の社会参加のみを考えたデザインという訳ではなく、担当デザイナー自身が3人の子育てをする中、「身体は健康であったが、乳幼児三人連れでのトイレ使用時は立派なハンディキャッパーだ」と感じた経験から作られたものなのです。

「だれにでもわかりやすく、使いやすく、暮らしやすくするための方法」 それがクラフトが目指すユニバーサルデザインです。